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トランス・ヒマラヤ密教叢書

『神智学大要』第三巻メンタル体(上)

 
第十八章 睡眠中の生活 

メンタル界層への透入例

 多くの人々が、寝入ろうとしても次々と雑念が湧いてなかなか寝つけなくて困った体験を持っている。そのような場合、雑念が外部より来るものであれば心の「殻」でそれを防ぐことができる。必要なのは寝入るまでの間の心の平安であるから、心の「殻」はそれまでの一時的なものだけであればよい。肉体から離脱する時、この心の「殻」も一緒に連れ去るのであるが、心の「殻」の役割はそれで完了する。というのはもともと本人が肉体から離脱するのを可能にすることだけがその唯一の目的だからである。

 彼が肉体の中にあった時は、肉体脳の粒子―複数―に心が作用していたため、それが肉体から立ち去るのが邪魔になったのであるが、いったん肉体から離れてしまえば、それまでの思い煩いや雑念によって肉体に引き戻されることはない。「殻」が壊れると、くだらない想念や思い煩いの流れが再び頭を抬たりが、本人が肉体脳から離れている以上、肉体の安息に干渉することはない。普通の人が睡眠中に、あるいは心霊能力の発達した人が三昧に入っている時に、メンタル界層に透入することは極めてまれである。メンタル界層に透入するには、生活と目的とが―常日頃から―純粋であることが絶対的な前提条件である。―この条件に叶うことなくして―メンタル界層にたとえ達したとしても、本当の意識といえるものはありえず、ただ同界層で印象を受ける能力があるだけである。

 睡眠中にメンタル界層に入りうる場合の一例をあげてみよう。純粋な心と、修行したわけでもないのに心霊能力とを持ったある女性の睡眠中にある人が近づき、ある想念を描いてそれを彼女に念送したのである。―念送された―光明輝く場景を観照することによって惑き起こされた彼女の敬虔なる歓喜の情が余りに烈しく、その想いが余りに気高く高尚となったために、睡眠中の彼女の意識はメンタル体に移った、すなわち、メンタル界層に「昇った」のである。彼女はメンタル界層独得の光と色彩の海の中に浮かんでおりながら全く自分自身の想念に溺れてそれ以外のことは意識しなかった。その状態が数時間も続いたのにかかわらず、彼女は時間の経過を意識しないようであった。この場合、メンタル界層上で意識は働いていたが、メンタル界層についての意識は働かなかった―つまり彼女は自分がメンタル界層にいることは意識しなかったのである―。このような結果は恐らくはすでにある程度の心霊能力が発達した場合にだけ起こりうるのであろう。催眠にかかった人が三昧に入ってメンタル界層に触れるためには、これと同一の条件がなお一層、決定的に必要である。その理由は前にも述べたように、普通の人のメンタル体はまだよくは発達していないために、別箇の、独立の意識体として用いることができないからである。実際には、イニシエイト方の大同胞団に属する指導者方より特別に使用方法の訓練を受けた人々だけがメンタル体を乗り物として用いることができるのである。

メンタル体を機能させる

 われわれはここで本書第十六章で述べられたこと、すなわち、第一イニシエイションまでは、人間は夜(睡眠中)にアストラル体で働く。しかし、アストラル体を完全に統御し、それを充分に活用しうるようになると、直ちにメンタル体の中での仕事が始まる。次には、このメンタル体が完全に調整されると、それはアストラル体よりも遥かに柔軟な器となり、アストラル界層では不可能な多くのことをその中で成就することが可能となる。

 死後の人間は天国すなわち、(後述のように)メンタル界層で暮らすのであるが、それでもなおかつ彼は彼自身の想念の「殻」の中に閉じ込もっている。これではメンタル界層で機能しているとはいえない。メンタル界層で機能するにはその界層で自由に動き廻り、かつそこに存在するものをことごとく観察する能力がなければならない。

 メンタル体で自在に機能しうる人は同界層の全栄光と全美とに入る能力を持ち、たとえアストラル界層で働いていてさえも遥かに包括的なメンタル感覚を持つものである。このことによって驚嘆すべき智識の展望が開け、過ちを犯すことは事実上不可能となる。

 メンタル体で機能する時はアストラル体と肉体とを残していく。何かの理由でアストラル界層に姿を現わしたい場合には、何もわざわざ、―後に残してある―アストラル体を取りに行く必要はなく、ただ意志をひと働きさせるだけでアストラル体を出現させて臨時の用に当てる。このようなアストラル物質化を幻体(マーヤーヴィルーパmayavirupa)といい、初めてそれを形成するには普通は然るべき大師の援助が必要である(このことは次章で扱うことにする)。

 以上の外にも睡眠生活を、たとえば、問題解決のために活用しうる方法がある。この方法はもちろん多くの人々が、大抵は無意識のうちにではあるが実行している。それは「夜は忠言をもたらす」という格言に表われている。解決すべき問題を寝る前に静かに心の中に安置するのである。その問題について議論や討議をしてはならない、あるいはまた睡眠が邪魔されてはならない。ただ心に語りかけて後は放任するだけである。すると裡なる「思考者」が睡眠中に肉体や脳より解放され、その問題を取り上げて処理するであろう。普通「思考者」は答を脳に印象づけ、目が覚めると―答は―意識の中に入っている。したがって、目が覚めたらすぐに答が書き留められるようにベッドの脇に紙と鉛筆とを備えて置くのがよろしい。以上の方法で得た想念は外界から蝟集する刺戟のために非常に掻き消されやすく、いったん消えると容易には回復できないからである。


 
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