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トランス・ヒマラヤ密教叢書

『神智学大要』第三巻メンタル体(下)

 
第二十三章 第一天国(第七亜層)の特徴

 後述するように下層の天を構成している四つの亜層(第七、六、五、四亜層)にはそれぞれ特徴があるが、だからといってその住人が本人自身が発達させた特徴に従って自分の天界生活をいろいろな層に分けるわけではない。むしろその反対に、前にも簡単に述べたように、人間は自分の発達程度【レベル】に一番適合する層のデヴァチャンで意識が蘇り、そこでメンタル体をまとって全生涯を過ごすのである。その理由は、高い層には独自の特質があるのはもちろんのことであるが、同時に低い層の特質も併【あ】わせ持っており、したがって、その住人には必ずといってよいほど下の界層の魂たちよりもそのような特質を豊かに持っているからである。

 第七亜層というこの最下層天の主な特徴は、家族や知友に対する愛情の世界である、ということである。しかし、この最下層天だけにしか愛が見られないというのではなく、第七下層天にいる住人たちにとってはこの程度の愛すなわち、家族や知友に対する愛が最高のものであるということである。もっと高い層ではもっと高尚でもっと大きな種類の愛が支配している。

 この層の典型的な住人をあげてみると次の通りである。そのうちの一人を見てみると、彼は実直であり、その点尊敬には値するが、知性や宗教感情はまだ発達していない小商人【こあきんど】である。地上生活時代には定期的に教会に通っていたかもしれないが、実際には宗教がよくはわからず、それは一種の薄暗い雲のようなもので、日常の商売とは結びつかず、物事を決めるうえでの指針になることも全くなかった。したがって、神や信仰への深い献身の情はなかった。しかし、自分の家族に対しては温かい情愛を持っていたのである。いつも家族のことを思っており、店で働くのも自分のためもあるがそれ以上に遙かに家族のためでもあった。彼のデヴァチャンでの環境はそれほど立派なものではないであろうが、それでも彼としてはこの上なく幸せで、彼の利他の特徴は一層発達し、やがてそれは久しく変わらぬ性質として彼の魂の中に組み込まれていく。

 もう一人の例は、唯ひとりのまだうら若い娘を残して死んだ人の場合である。彼は心の中で娘の将来を絶えず美しく描いているので、デヴァチャンでも娘(実は、娘の想念形態〔似姿〕)は常に、しかも最善の状態で彼とともに暮らしている。次の例はある少女の場合で、彼女は父の数多い美点をいつも深く思い、ちょっとした贈り物【プレゼント】で父を驚かしたり、いつも変わったことで歓ばしてあげたいと思っている。別の例はギリシャ女性で、三人の子供たちと一緒に暮らしてこの上なく幸せであり、そのうちの一人は美少年で、オリンピック競技の優勝者であると想像して楽しんでいる。

 過去数百年間のこの第七亜層の著しい特徴としていえるのは、非常に多数のローマ人、カルタゴ人、イギリス人が多いということで、この期のこの国民たちにはその利他的行為が主として家族への愛という形を取ったのが多かったからである。ヒンドゥ教徒や仏教徒が比較的少ないのは、一般的にいって、彼等の日常生活には本当の宗教感情が生きているからであり、したがって、彼等はもっと高い層にいる。

 これまで観察してきた事例にはほとんど無限といってよいほどの差異があり、その様々な発達程度は光の明暗の程度でわかり、色はその人の徳性や素性の発達程度を示している。中には熱愛の最中【さなか】に死んだ恋人もおり、彼や彼女たちの念頭には恋人のこと以外には何もない。その他ほとんど野蛮人といってもよいくらいの人々もいるが、彼らにはいくらか利他的なところがあったのである。

 以上のすべての実例において、彼らの個人生活のうち、メンタル界層に表現【あらわれ】ることのできた行為の唯一共通の要素は、愛情だったのである。しかし、大抵の場合彼等の造っている想念形態(似姿)は完全というにはほど遠く、そのため彼等の愛情の対象である人々の魂【エゴ】(高我)は(そのような不完全な自分の似姿〔想念形態〕を通じては)十分に自分自身を表現することができない。しかし、どんなに不十分であるとはいっても、前章で説明したように、その表現は地上でのそれに比べると遙かにまさり、満足がいく。

 この最下層のデヴァチャンにいる人々にとっては、この世界には才能形成の資【たすけ】となるものは余りなく、その生活には進歩が非常に少ない。それでも家族に対する彼等の愛情はますます大きく育ち、その範囲も少し拡がり、次に生れ変わった時には感情も幾らかよくなっており、もっと高度の理想を認識しかつそれに反応する傾向が一層強くなるであろう。

 
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